HDRと4kの違いとは? 【有機EL (OLED)ディスプレイ/モニターについて】 | デジマースブログ
HDRとは?
HDRとは「high dynamic range(ハイダイナミックレンジ) 」の略で、最近TVやゲーム機、映像ソフトで目にする機会が多いのではないでしょうか。
HDRには『スマホ カメラ』 と『ディスプレイ』でそれぞれ違いがあります。
写真をやる方は”写真のHDR機能”の認識の方が強いと思われますが、あちらは言わゆる画像補正で、夕焼けや夜景など「白とび」「黒つぶれ」になりがちな「絵」に補正をかけて被写体全体が均等に映るようにする技術です。
ディスプレイ映像のHDRは違います。
ディスプレイ映像のHDRとは、表現の段階を、現在の映像規格よりも拡大して、より繊細にした新しい映像規格となります。
2017年12月11日 VESAがHDRのPC向け標準規格
VESA High-Performance Monitor and Display Compliance Test Specification「DisplayHDR」
を策定し、HDRの度合いについての表示規格が出来ました。
現在PC向けのモニターでは250cd~350cd(カンデラ)の輝度を表す製品が発売されておりますが、「DisplayHDR 1.0」では、「HDR10」をサポートする方式で以下の表示カテゴリが設定されました。
・DisplayHDR 400
・DisplayHDR 600
・DisplayHDR 1000
「DisplayHDR 1000」の眩しさの引き換えになる電気代が気になりますが、消費者側の製品判断とメーカー側の品質管理の面でもメリットが感じられます。
今まで黒一色に潰れていた暗部の映像再現でも、暗いなりに多くの情報が確認でき、光度/輝度を高く設定できる製品では、
白とびがなく眩しい程の明部とコントラスト高い暗部が表現できるようになりますので、よりきめ細かい表現力を楽しめるのではないでしょうか。
2018年発売のiPhoneにも映像のHDR対応が始まってきております。
※現時点1080p(フルHD)再生の上限;
4Kとは?8Kとは?
まずは各画質の違いを比較画像で確認ください↓
「4K」はテレビなどの画面解像度3840×2160のことですが、従来の家庭用テレビやスマートフォンで代表的な解像度はフルHDの2Kでした。
売り場に足を運ぶと4K製品がメインで展示されてますね。
まず、2Kはスマホでも使われてる規格で、
2K = 2000の略形(1920x1080 →1920が約2000なので)。
Kはキロ(1000)。
2000なので2Kになります。
まとめると、
2K = 2000の略形 = 1920x1080(1920が約2000なので)
4K = 4000の略形 = 3840x2160(3840が約4000なので)
8K = 8000の略形 = 7680x4320(7680が約8000なので)
です。
4K/8K放送については放送フォーマット化が進んでおり、
先駆けて、2018年12月1日に「新4K8K衛星放送」がスタートしております。
ちなみに「iPhone8Plus」の解像度はフルHD(2K)の1920x1080ですが、こちらは5.5インチのディスプレイですので、いわゆる画素密度のppi(pixel per inch)については401ppiとなります。
人間の目で識別できる、解像度は一般的に350ppi程度と言われてますので(数字が多いほど細かい)、5インチ前後のスマートフォンについては今以上の解像度(4Kや8K)は必要ないですが、iPad(9.7インチ)については264ppiですので、高解像度化の需要はありそうですね。
※2020年春にシャープから8K撮影可能な5G搭載スマートフォン、5G通信サービス対応Androidスマートフォン「AQUOS R5G」5Gスマホが先駆けて登場(Wi-Fi 6に対応/8K動画撮影対応)
4Kについてはいかがでしたでしょうか。
続いては「有機EL」について紹介します。
有機EL(OLED ディスプレイ)とは?
「有機EL(OLED ディスプレイ)とは?」については10数年まえから携帯電話にも使用されており、最近ではスマートフォンにも使われておりiPhoneXやApple Watchなどの小型パネルはサムスン社製が使用されています。
現在広く使われている「液晶」(IPS液晶など)とは違うディスプレイ規格の一つです。
2017年は日本での家庭用の大型有機ELテレビ元年となり、大型パネルはLG社製をつかって、各社がついに本格的な製品販売を開始しました。
※20万円台まで価格は下がってきました
※4Kチューナーが付いているか確認必須
液晶との違いについては、
・液晶ディスプレイよりも高コントラスト
・液晶→バックライトで背面から照らすので、黒がグレーっぽくなってしまう
有機EL→画素が自発光するのでバックライトいらず→美しい真の黒の再現
・画素の輝度変化が瞬時に可能なため動画に強く残像感が少なく応答速度が速い
※IPS液晶でも1msの応答速度の製品が登場し、応答速度に優れたTNパネルも0.4msなどさらに高速になってます
※応答速度が遅い場合、テレビ番組のテロップがスクロールする場合、文字がボケてしまって読みにくくなります
有機ELは特性上、動きが早い映像についても、シャープな輪郭を維持しやすいので、特にスポーツ中継やゲームに適しています。
ここから少し寄り道します。
動画識別能力の仕組み
私たちの目はどのように連続する映像と映像を見ているのでしょうか。
私たちが見ている風景などの世界は、自身の脳が都合よく補正した映像のようです。
アナタと私で見えてるものに差異がある可能性があるなんて怖いですね…。
動きのある映像はどう作り出しているかというと、静止画と、ほんの少し時間の経過した静止画をパラパラ漫画のように、情報として脳内に取り込んでいるので、本来はチラチラ途切れた繋がりに欠けた動画のような映像になるはずなのです。
しかし!
厄介なのか救いなのか、静止映像は脳内に、光の情報として取り入れられる際、その光の強さに応じて、なんと「残像効果」が起こるそうです。
経験あると思いますが、蛍光灯の光を直接見た時、太陽を直接みてしまったとき、強烈な映像を見てしまったとき、あの目蓋(まぶた)に焼き付くヤツが過度の残像効果の現象です。
私たちの脳は、静止画と静止画の間に「残像効果による中間映像フレーム」が自動生成されているので、うまいこと繋ぎ合わされ、動きのある映像を滑らかに感じることが出来ているのです。
そう考えると、残像効果がなくなったら毎日の生活がストレスですね…考えたくもない。
有機ELの普及について
有機ELは、液晶テレビと同じで今後驚くスピードで製品の改善が進んでいく見込みです。
現在の課題はディスプレイの寿命の短さなどが話題に上がりますが、2~4年サイクルで買い替えが発生するスマートフォンでは大きな問題にならないでしょう。
家庭用ゲームの用途での使用の場合については注意が必要で、過去のブラウン管やプラズマディスプレイと同様に「画面の焼付き」問題が課題となります。
iPhoneXでは静止画状態の長時間利用も想定してシステム調整されている話題も出ておりますが、家庭用TVについても焼き付き軽減の技術がこれから開発されていきます。
当面は映画など常に動きがあるコンテンツの視聴で、十分すぎる没入感には浸れるのではないでしょうか。
鮮やかな発色と引き締まった黒。普及が待ち遠しいです。
次回も情報設計の話題をしたいと思います。
以上、デジマースのネモトでした。
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