デザイントレンドとテクノロジー

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「トレンド」と書くとポジティブで先進的なイメージですが、
「流行」と置き換えると少なからずネガティブを感じます。

今回はそんな流行り廃りもあるWebデザイントレンドとテクノロジーの関係を考えてみます。


過去のトレンドとテクノロジー

まずは、
歴史ある量産性ともなう印刷技法として、
「シルクスクリーン印刷」を紹介します。

メッシュ目の素材に特殊な薬品を使って、
インクが通過する部分をつくることで版を作ります。
プリントTシャツなど単色表現、もしくは重ね合わせによる多色構成が可能な技法ですが、
その独特な仕上がりと印刷される側の自由度が高いため、
現在も活用され、1950年代後半から、商業、ポップ・アート、
芸術作品の表現手段として用いられました。
引用元:google画像検索
アンディ・ウォーホル/ マリリン・モンロー/1967年

シルクスクリーンによる表現も当時は先進的なグラフィックデザインとして捉えられ、
数多くのポップ・アートが商用利用されておりました。

重要なのは、その表現にはテクノロジー/テクニック(技術/技法)が伴っていたことです。

コンピュータの進化により、
独特な手順と工程、器具が必要であったこれらの表現も、
コンピューター上で疑似的に再現が可能となりました。

「規則的に凹凸のある紙にクレヨンで引いた線」や、
「こすれたマットな表面ながらも鈍く光るエッジを持つスチール表現」など、
デザイナーとして本質を知らなければ組み込みの発想に至らないため、
表現理論を知ることは必要です。


画面のトレンドとテクノロジー

それでは、過去のソフトウエアなどの画面表現について確認してみましょう。

画面表現は制約の歴史です。

1980年代の「8ビット」の時代は、限られた画面解像度と色パレット制限がありました。
使える色は、光の三原色をオンオフして再現可能なわずか8色
(黒、白、赤、緑、青、黄、紫、水色)でしたが、


この時代でも技術を駆使して高見を目指し、トレンド表現を作っておりました。

代表的な表現として、
少ない色数から新たな色を認識させる「タイルペイント」技法がありました。

2色をタイル状に交互に並べることで、
遠目で見ると2色の中間色を再現しています。
間隔を調整することで濃淡も再現できます。
モニターのコントラストが低く滲んでいる方が自然に見えたりもします。
この苦肉の策の技法は、現在も
「ディザ」処理(インデックスカラー256色など、少ない色数で段階の多い素材を再現する)として使われています。


テクノロジーの違いによる表現の違い

それでは最近のWeb表現トレンドである、
「グラデーション」について比較説明します。

グラデーションはGIFやPNGなどのビットマップ画像の場合、段階表現を増やし滑らかな色変化を再現するには多くの容量を必要とするため、利用できる機会が必然的にありませんでした。

グラデーション画像を運用する為には、容量を可能な限り軽くする必要があり、結果、滑らかなグラデージョンは失われ、再現できませんでした。

現在ではアイコンをはじめ多くの表現としてグラデーションが使われていますが、可能にしたのは下記要因です。

・回線情報転送量の拡大 ※【秒間】64kバイト程度 → 数メガバイト単位
・画像表示メモリ増
・演算によるリアルタイム表示 ※従来は書き出した画像での表示

CSSやSVG[Scalable Vector Graphics(スケーラブル・ベクター・グラフィックス)]
で表示出来るようになった点もありますが、
もっとも影響が大きいのは、
画像を減色等、最適化しなくても実運用に持ち込めるようになった回線速度テクノロジーの進化の影響ではないでしょうか。


高速かつ複数コア化したCPUの恩恵

回線速度の進化と並行して強力高速になったのはプロセッサ類です。
機器の処理速度をつかさどる頭脳ですが、
一旦の高速化鈍化を迎えながらも、
複数コア化によりさらに多くの情報を処理できるようにテクノロジーが進化したため、
いわゆる「力技」が出来るようになったのも大きいと考えます。

過去の非力なCPUでは画面の描画に時間がかかり、
JavaScript等による処理も足かせになって表示ストレスを生んでいましたが、
悪い意味で、無駄が多くで扱いやすい低速プログラミング言語や不適切なマークアップでも、
そこそこに見れるものが再現出来てしまう時代になりました。

結果、
段階表現がとても多く重いメガバイトレベルのグラデーション画像でも、ストレスを感じさせないレベルで運用できる環境が出来てしまっています。

不自由を感じる状況があるとすれば、
速度制限を受けたユーザー利用シーンの場合でしょうか。


まとめ

以上のように、
過去は制約上なしえなかった表現が現在のテクノロジーでは可能となり、
リッチでマテリアル感を押し出した表現ができている、
という見方もできるのではないでしょうか。
また、
最適なマークアップやプログラミングが出来ていなくても運用できることで、
専門工程職の必要性がなくなりつつあるのも時代の流れと感じますが、
Webやアプリに関係するグラフィックデザイナーに対しては、
必然的に総合スキルを求められる時代になってきたのだと深く考えさせられました。

次回も情報設計に関係した話題をお届け致します。
デジマースのネモトでした。

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